ニューヨーク州(死者の)パブリシティ権規定(仮訳・全文)

ニューヨーク州公民権法

50条のf  パブリシティ権

1. 本条において

a.「物故実演家」とは、死亡時に本州に居住していた自然人で、収益または生計のために、演技、歌唱、舞踊または楽器の演奏に定期的に従事していた者をいう。

b.「物故有名人」とは、死亡時に本州に居住していた死亡した自然人を意味し、その名前、声、署名、写真または肖像が、その死亡時にまたはその死亡により、商業的価値を有する者をいう。当該死亡した自然人が、その存命中に、自身の名前、声、署名、写真または肖像を、製品または商品に使用したかどうか、または、製品、商品もしくはサービスの広告、販売、もしくは購入の勧誘の目的で使用したかどうかは問わない。

c.「デジタル・レプリカ」とは、別にかつ新たに作成されたオリジナルな表現力のある録音物または視聴覚作品中の、新たに作成されたオリジナルでコンピュータ生成の電子的な、個人による実演であって、前記録音物または視聴覚作品に現れる個人が、実際には実演していないにもかかわらず、あまりにもリアルなために、合理的な観察者が、他の者ではなく、当該個人による実演であると信じるようなものをいう。デジタル・レプリカには、個人のオリジナルの実演または記録された実演からなる表現力ある録音物または視聴覚作品の電子的複製、コンピュータ生成物またはその他のデジタル・リマスタリングは含まれない。たとえ、その個人の声を真似た音であったとしても、他の音の独立した固定のみで構成される別の録音物の作成または複製も、デジタル・レプリカには含まれない。

d. 「録音物」とは、音楽的な音、音声的な音その他音(映画やその他の視聴覚的著作物に付随する音は含まれない)の一連の固定から生じる作品をいい、それらが再製されているディスク、テープその他レコードなどの有体物の特性は関係しない。

2.

a. 第4項に定める者の事前の同意なしに、製品もしくは商品に、または、製品、商品もしくはサービスの広告、販売もしくは購入の勧誘を目的として、いかなる方法であれ、物故有名人の氏名、声、署名、写真または肖像を使用した者は、その結果として第4項に定める者が被った損害について賠償する義務を負う。

b. 物故実演家のデジタル・レプリカを、第4項に定める者の事前の同意なしに、脚本付き視聴覚作品において架空の登場人物として使用した者、または、音楽作品の生実演のために使用した者は、そのような使用が、第4項に定める者の許諾を得たものと公衆が誤認させるおそれがある場合には、その結果として損害を被った者の損害を賠償する義務を負う。
ただし、そのような使用を行う者が、デジタル・レプリカが登場する脚本付き視聴覚作品または関連する広告のクレジットに、当該デジタル・レプリカの使用は、第4項に定める者の許諾を得たものではない旨を明記した場合、当該使用は、第4項に定める者の許諾を得たものと公衆を誤認させるおそれがあるものとはみなされない。

c. 本条に基づき提起された訴訟において

i.  本条に違反した者は、損害を被った者に対して、2,000ドルまたは無許諾使用の結果被った損害を填補する額のいずれか大きい方の額と、あわせて、当該無許諾使用による利益のうち、当該使用に起因しかつ前記填補損害額の計算に際して考慮されなかった額を賠償しなければならない。

ii. 第2項に基づく利益を立証する際には、損害を被った者は、無許諾使用に起因する総収入を立証すればよく、控除可能な費用の立証は本項に違反した者が行う必要がある。

iii. 損害を被った者に対して、懲罰的損害賠償を与えることもできる。

d. 第2項に関しては:

i. 作品が次のいずれかに該当する場合、第2項a節の違反とはならない。

・演劇、書籍、雑誌、新聞その他の文学作品
・音楽作品や作曲
・芸術作品やその他の視覚的な作品
・政治的、公益的、教育的またはニュース性のある作品(コメント、批判、パロディまたは風刺を含む)
・オーディオもしくは視聴覚作品またはラジオもしくはテレビ番組(いずれも、フィクションまたはノンフィクションの娯楽であること)
・上記いずれかの広告または商業的な発表

ii. 作品が次のいずれかに該当する場合、第2項b節の違反とはならない。

・パロディ、風刺、解説または批判
・政治的もしくはニュース性のある作品、またはそれらに類する作品(ドキュメンタリー、ドキュドラマもしくは歴史的もしくは伝記的な作品など。フィクション化の程度は問わない)
・音楽作品の生実演を除き、物故実演家を本人として表現したもの(フィクション化の程度は問わない)
・些細なものまたは付随的なもの
・上記いずれかの広告または商業的な発表

iii. ニュース、公の関心事もしくはスポーツの試合やその結果に関連して(形式、媒体もしくは送信手段にかかわらない)または選挙運動に関連して、氏名、声、署名、写真もしくは肖像の使用が行われた場合は、本条の違反とはならない。

iv. 氏名、声、署名、写真または肖像が、商業媒体において使用された場合は、その使用を含むものが、商業的な資金提供を受けていること、有料の広告もしくはプロダクト・プレースメントを含んでいること、または商品、商業品、製品もしくはサービスと関連する使用であることだけを理由に、本条の違反とはならない。むしろ、物故有名人の氏名、声、署名、写真または肖像の使用が、第2項において同意が必要となる使用となるほど、商業的な資金提供または有料の広告もしくはプロダクト・プレースメントに直接的に結びついているかどうかは事実の問題である。

e. 第2項a節の違反に関連して、d節によって保護される作品中に商品、商業品、製品もしくはサービスと関連する使用が含まれている場合、保護されない使用を含む作品は免責されるとしても、このような使用自体は、d節によって免責されない。この場合、原告は、a節に当たる使用につき、第4項に定める者からの事前の同意のない、物故有名人による、商品、商業品、製品もしくはサービスの広告、販売もしくは購入勧誘となるほど、当該使用が当該商品、商業品、製品もしくはサービスに直結していることを証明する必要がある。

3.本条で認められる権利は、契約、ライセンス、贈与、信託または遺言書によって、全部または一部を、自由に譲渡することや遺贈することができる財産権である。物故有名人の氏名、声、署名、写真または肖像に関する当該物故有名人の権利を明示的に譲渡する規定が遺言書に存在しない場合には、物故有名人の財産の残余の処分を規定する遺言書の規定は、本条で認められる権利を当該規定に従って譲渡する上で有効である。また、本条により創設される権利も、本条によって認められた物故有名人の権利の後の所有者によって、契約、ライセンス、贈与、信託または遺言書により、自由に譲渡することや遺贈することができる。本条のいずれの規定も、物故有名人が生前に締結した、自己の氏名、声、署名、写真または肖像を使用する権利の全部または一部の譲渡契約を無効にし、または執行不能にするものと解釈されてはならない。

4. 本条で必要とされる同意は、本条第3項の規定にしたがって、同意の権利またはその一部を譲り受けた者によって、行使することができる。譲渡がなされていない場合には、本条第5項の規定により、同意の権利またはその一部の遺贈を受けた者が行使することができる。

5. 本条の第3項および第4項を条件として、遺言なく死亡した者に係る本条に基づく権利は、無遺言相続に関する法の定めるところに基づいて分配されるものとし、本条の権利および救済は、本条に基づく権利の少なくとも51%の持分を保有する者が行使および執行することができる。前記の者は、当該行使される権利を有する他の者に対して、その持分に応じた分配をなし、常に誠実に行動しなければならない。

6. 物故有名人が、契約によって、または信託もしくは遺言書によって、本条に基づく権利を移転しておらず、かつ、本条第5項に掲げられた遺族がいない場合、本条第2項に定められた権利は消滅する。

7.

a. 本条に基づく物故有名人の権利の承継者またはそのライセンシーであることを主張する者は、州務長官の定める書式を用いて、州務長官が規則で定める手数料の支払った上で、その主張を州務長官に登録することができる。この書式は認証されなければならず、物故有名人の氏名と死亡日、請求者の氏名と住所、主張の根拠、および主張される権利を記載しなければならない。本条で禁止されている利用が、本条に基づく物故有名人の権利の承継者またはそのライセンシーが権利の主張を登録する前に発生した場合、前記承継者またはライセンシーは、当該利用に対して請求権を有さない。

b. 州務長官は、本条に基づく文書を受領し保管した後は、物故有名人の権利承継者または本条に基づく登録ライセンシーであると主張する者の全記録とともに、当該文書を州務長官のインターネット・ウェブサイトに掲載しなければならない。

c. 本項に基づいて登録された請求は、公文書とする。

8. その死後40年を経過した後に生じた物故有名人の名前、声、署名、写真、または容姿の使用を理由に、本条に基づく訴訟を提起することはできない。

9. 本条の規定は、本条に違反する広告または勧誘が公表または流布された広告に使用される媒体(新聞、雑誌、ラジオおよびテレビのネットワークおよび放送局、ケーブルテレビシステム、看板ならびに交通広告が含まれるがこれに限られない)の所有者または従業員には適用されない。ただし、所有者または従業員が、物故実演家のデジタル・レプリカまたは物故有名人の名前、声、署名、写真もしくは容姿の、本条で禁止されている態様での不正使用について、事前の通知によって現実の認識を有していたことが立証された場合を除く。

10. 本条の規定は、コモンローまたは衡平法で認められた他の権利または救済手段に追加されるものであって、取って代わるものではない。

11. 本条は、責任、損害賠償その他の救済措置が、NY州内で直接発生した行為に起因する事案における、責任の決定および損害賠償その他の救済措置の賦課の場合に適用される。本条において、責任を生じさせる行為とは、製品、商品、もしくはサービスにおける使用、または、製品、商品、もしくはサービスの広告、販売、または購入の勧誘であって、本条で禁止されているものに限定される。

12. 本条のいかなる規定も、情報コンテンツ・プロバイダによって提供されるコンテンツに係るインタラクティブ・コンピュータ・サービスに対して(これらの用語については、同条の定めるところによる)、合衆国法典第47編第230条が与える保護を制限したり、拡大したりするものと解釈してはならない。

注) 本仮訳は、DeepLに下訳をさせた上で、KJ_OKMRが改めて翻訳して公表するものである。内容については非保証。

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